2013年10月31日木曜日

日本の市区町村の製造業に関わる地図-市区町村別全従業者当たりの製造業従業者数

   前回は,市区町村の製造業従業者数を見ましたが,今回は,それを全従業者数で割った値である全従業者当たりの製造業従業者数の地図を見てみます.この値が大きいほど,製造業で働く人の割合が高いことを示します.
   この地図を見ると,太平洋ベルトだけでなく,北陸や関東から東北にかけても,高い地域が多くみられます.ただし,太平洋ベルトの中でも,東京,大阪とその周辺地域では,高い地域があまりみられません.東京や大阪は,人口が多いため,製造業以外の産業で働く人もたくさん住んでいます.このため,製造業で働く人も多いものの,全従業者に占める割合は低くなります.一方,製造業で働く人の割合が高い地域であっても,人口が少ない市区町村では,製造業で働く人の数は多くはならず,製造品の出荷額も多くはなりません.以上のように,同じ製造業に関わるものであっても,指標が異なれば,市区町村の値は大きくなることも小さくなることもあります.ただし,これまで見てきた指標では,東海は,いずれも大きい値を示しており,日本の中で,特に工業が盛んであることを示しています.

2013年10月30日水曜日

日本の市区町村の製造業に関わる地図ー市区町村別製造業従業者数


 
 これまでは,製造品出荷額に関わる地図から,日本の工業分布の特徴を見てきましたが,今回は,製造業従業者数について見てみます.この地図は,市区町村の高さが,製造業従業者数に比例しています.
   この地図を見ると,やはり太平洋ベルトに高い市区町村が多くみられ,東北や北陸にも,高い市区町村が点在しています.このような特徴は,以前に見た製造品出荷額の地図と,かなり似ています.大雑把には,製造品出荷額が多い市区町村では,多くの人が製造業に従事しているようです.

2013年10月29日火曜日

日本の市区町村の製造業に関わる地図ー市区町村別人口当たりの製造業製造品出 荷額


  今回は,人口当たりの製造品出荷額を見てみます.この地図は,製造品出荷額を人口で割った値を表しており,その値が大きいほど,市区町村の高さが高く表現されています.
  この地図は,これまでのものに比べて,小さくて高い市区町村が,あちこちに点在するという特徴があります.たしかに,これまでと同様,太平洋ベルトに高い市区町村がたくさんありますが,東海のいくつかの市区町村を除くと,いずれも面積が小さいもので,また,このような高くて小さい市区町村は,東北や北陸にもみられます.その一方で,太平洋ベルトの中でも,東京や大阪では,あまり大きな値にはなっていません.これは,東京や大阪では,工業が盛んではあるものの,それ以外の産業に従事している人もたくさん住んでいることを示しています.東海は,今まで見てきた地図では,いずれも高い値を示してきました.もう少し,いろいろな指標から見てみようと思います.


2013年10月28日月曜日

日本の市区町村の製造業に関わる地図-市区町村別製造業製造品出荷額


  今回は,市区町村別製造業製造品出荷額の地図で,面積当たりのものではありません.地図中の市区町村の高さが,その出荷額に比例します.
  この地図でも,出荷額が多い市区町村は,太平洋ベルトに多くみられますが,面積当たりの地図ほど太平洋ベルトへの集中が顕著なわけではありません.愛知県の豊田市は,飛び抜けて大きな値を示していますが,豊田市を除くと,太平洋ベルトに位置する市区町村と同じくらいの出荷額の市区町村は,東北や北陸などにも点在しています.この地図からも,太平洋ベルトに工業が盛んな市区町村が多くあることは示されましたが,それ以外の地域にも,ある程度出荷額が多い市区町村があることが分かりました.

2013年10月27日日曜日

日本の市区町村の製造業に関わる地図-市区町村別面積当たりの製造業製造品出荷額


   今週は,製造業に関わる地図を見たいと思います.今回は,面積当たりの製造品出荷額の地図ですので,地図中の市区町村の体積が,その市区町村の製造品出荷額に比例します.
   この図を見ると,関東から東海の太平洋岸および近畿から九州の瀬戸内沿岸に,大きな市区町村が集中していることが分かります.これらの地域は,太平洋ベルトと呼ばれており,工業が盛んであることがよく知られています.ただし,この地図は市区町村の面積当たりで示されており,先週見たように,太平洋ベルトの市区町村は,面積が狭いものが多いため,この地図では過剰に強調されているかもしれません.次回以降,いくつかの指標から,市区町村の製造業の特徴を見てみたいと思います.


2013年10月24日木曜日

日本の市区町村の面積に関わる地図-市区町村別面積当たりの可住地面積


  前回は,市区町村の可住地面積の地図を見ましたが,今回は,面積当たりの可住地面積を見てみます.この値が大きいほど,市区町村の面積に占める可住地面積の割合が高いことを示します.
  面積当たりの可住地面積は,これまでの面積や可住地面積とは異なり,関東から九州にかけての太平洋ベルトに,高い市区町村がたくさんあります.これらの市区町村の多くは,関東平野や濃尾平野などの比較的大きな平野に位置しています.また,多くは,政令指定市として区に分かれているため,区の面積は狭いものの,大部分が平野に位置するため,可住地面積の割合は高く,100%のところもあります.

2013年10月23日水曜日

日本の市区町村の面積に関わる地図ー市区町村別可住地面積

   今回は,可住地面積について見てみたいと思います.可住地面積とは,読んで字のごとく,人が住むことが可能な土地の面積のことで,市区町村の面積から,その市区町村内の山林の面積を除いたものです.
   市区町村別可住地面積の地図を見ると,北海道や東北,北陸に,可住地面積が大きい市区町村がたくさんあります.これらの地域は,面積も大きい市区町村がたくさんありましたが,その一方で,面積が大きい市区町村がみられた中部から四国にかけては,可住地面積が大きい市区町村が,ほとんどみられません.これらの地域には,中部山岳地域や,紀伊山地,四国山地といった大起伏な山地があるため,このような傾向がみられるのではないかと思います.

2013年10月22日火曜日

日本の市区町村の面積に関わる地図-点で表した地図


  これまで,市区町村の様々な指標について,市区町村の領域を立体的に表すことで地図を作成してきました,このような地図は,視覚的に印象深いものになるものの,陰ができたり,領域の大きさに違いがあったりと,短所もあります.このような短所を補うことができるかも知れない地図を,今回は作成してみました.市区町村の領域の重心にあたる位置に,点を示して,その点の高さで市区町村の面積を表した地図です.
   この地図を見ると,これまで作成してきた地図の短所が,ある程度解消しています.点の高さで表しており,細い棒がたくさん並んでいますので,隙間が多く,あまり陰が多くはありません.また,すべての市区町村は,同じ太さの棒で表されており,異なるのは高さだけですので,市区町村の領域の大きさの違いによって,過剰に強調されたり過小に見えたりといったことはありません.
   ただし,短所とともに長所もある程度解消されてしまったように見えます.これまでの地図にみられた,見た目の印象深さについては,点で表すことによって,かなり薄れてしまったように感じます.棒の間に隙間がある分,陰は少なくなる一方で,その棒が表している場所は,よく見ないと分かりにくくなっています.
   以上のように,今回の点で表した地図にも長短あり,万能ではありません.地図に応じて,使い分ける必要がありそうです.

2013年10月21日月曜日

日本の市区町村の面積に関わる地図ー日本海から見た市区町村別面積

   前回見た市区町村別面積の地図は,視点が太平洋にあり,日本海側の市区町村が陰になっていたため,視点を日本海に移動してみました.光源が日本海と同じく,日本の北西にありますので,日本海側の面に光が当たっており,前回の地図よりも,かなり明るく見えます.
   日本海から見た様子は,太平洋から見たものとは異なります.太平洋側の市区町村では,海岸に小さい市区町村があり,内陸に向かって,徐々に大きくなる傾向がありました.一方,日本海側の市区町村を見ると,海岸に小さい市区町村はあるものの,中くらいの市区町村も大きい市区町村もあり,内陸に向かって大きくなる,という傾向はありません.太平洋から内陸に向かって,市区町村は大きくなる傾向にあるものの,日本海からはそうではない,ということは,太平洋から日本海に日本列島を横断する断面で見ると,市区町村の面積は,非対称な分布になっているようです.これは,日本海と太平洋とを分ける分水嶺の偏りと関係しているのかも知れません.地形と市区町村の面積との関係については,いずれ詳しく見てみたいと思います.

2013年10月20日日曜日

日本の市区町村の面積に関わる地図ー市区町村別面積

  今週は,市区町村の面積に関わる地図を紹介します.面積は,面積で割るわけにはいきませんので,面積の値そのままの地図です.このため,市区町村の高さが,その面積に比例するようになっています.
  この地図を見ると,やはり,北海道に大きな市町村がたくさんあることが分かります.さらに,東北から中部にかけても大きな市町村が並んでいます.一方,小さな市区町村は,東京や大阪などの大都市とその近郊にたくさんありますが,それ以外にも,太平洋や瀬戸内海に面した地域では,小さな市区町村がみられます.海岸から内陸に向かって,市区町村の面積が大きくなる傾向があるように見えます.ただし,この地図は,太平洋から見たものですので,日本海側の多くの市区町村は陰になって見えていません.視点を変えた地図も,見る必要がありそうです.
 

2013年10月18日金曜日

日本の市町村別農業に関わる地図ー全就業人口当たりの第一次産業人口

  今回は,人口から日本の農業の分布を見てみたいと思います.農業就業人口が最も適当だと思いますが,入手が容易であった第一次産業人口を用いました.全就業人口当たりの第一次産業人口で地図を作成しましたので,この値が大きいほど,その市町村では農業に従事している人の割合が高いことを示します.
  この値が大きい地域を見ると,北海道に密に分布しており,東北や中四国,九州にも大きい市町村がみられます.一方,農業産出額では比較的大きな値を示した,関東や東海では,この地図では,大きな値を示す市町村は,あまり多くはありません.これと同様の傾向は,人口当たりの農業産出額の地図でもみられました,やはり,関東や東海の大都市近郊の市町村では,農業は盛んではあるものの,それ以外の産業に従事している人も,たくさん住んでいるため,人口で割った値で地図にすると,このような傾向の分布になるのではないかと思います.

2013年10月17日木曜日

日本の市町村別農業に関わる地図ー面積当たりの耕地面積

   これまで,農業産出額を基に,日本の農業の分布を見てきましたが,今回は,耕地面積について地図を作成しました.市町村の体積が耕地面積に比例するように,市町村の面積当たりの耕地面積を表しています.
   この地図を見ると,北海道,東北,関東,東海,九州といった,これまでの地図で見てきた農業が盛んな地域の市町村が,おおむね大きな値になっているようです.北海道では,市町村域が広大なため,面積当たりの耕地面積は小さくなるかと思いましたが,大きな値の市町村がそれなりにたくさんあります.北海道では,広大な山林を含む広大な面積の市町村が多いかなと思っていましたが,必ずしもそうではないようです.市町村の面積については,いずれの指標にも関わるものですので,いずれ詳しく見てみたいと思います.

2013年10月16日水曜日

日本の市町村別農業に関わる地図―人口当たりの農業産出額


   前回は,面積当たりではない農業産出額の地図を見ましたが,この地図にも欠点はあります.何の値でも割っていないので,それほど農業が盛んではなくても,とにかく大きな市町村なら,ある程度農業産出額が大きくなるかも知れません.北海道の市町村のように,農業が盛んな地域と広大な山林とからなるような市町村では,面積当たたりではない農業産出額で,適切に表現できていそうですが,あまり農業が盛んではない市町村が,合併によって,広大な市町村になった場合は,結果として,ある程度農業産出額が大きくなっている可能性があります.このため,何らかの値で農業産出額を割った方が,適当な場合があるかも知れません.
   今回は,人口当たりの農業産出額の地図を作ってみました.合併によって市町村が広大になった場合などは,人口も多くなっているでしょうから,人口で割ることによって,過大評価することはないでしょうし,北海道の市町村のような場合は,人口はそれほど多くはないでしょうから,過小評価することもないと考えました.
   人口当たりの農業産出額の地図を見ると,高い市町村が,北海道に非常にたくさんあります.東北から中部にかけてと,九州にも高い市町村が点在していますが,とにかく北海道が目立ちます.これは,北海道以外の農業産出額が大きい市町村の多くでは,比較的人口が多いことを示しています.関東や東海の大都市近郊の市町村のように,農業が盛んではあるものの,大都市に通勤する住民も多い場合や,農業はそれほど盛んではないものの,合併等によって市町村域が広大になり,農業産出額も人口も大きくなった場合などがありそうです.

2013年10月15日火曜日

日本の市町村別農業に関わる地図―農業産出額


  面積当たりの農業産出額の地図には,北海道の市町村がほとんど目立たない,という特徴がありました.これは,値には,面積の影響が大きいのに対して,地図では,面積よりも高さの方が目立つためではないかと思います.このため,面積当たりにせずに,農業産出額そのものの値で,地図を作ってみました.この地図では,体積ではなく,高さが農業産出額に比例します.
  農業産出額の地図を見ると,北海道や東北にも,額が大きい市町村がいくつもあることが分かります.これらの市町村は,面積が大きいため,面積当たりの地図では,ほとんど目立ちませんでした.これは,農業が盛んな市町村には,面積が非常に広いものも狭いものもあることを示しています.先週見た人口密度の場合は,人口が多い地域は政令指定都市で区に分かれているので,集計単位が狭くなります.このため,人口は多いものの面積が非常に広いため人口密度が小さくなる,ということが起こらないことになります.したがって,人口密度の地図から,日本の人口分布の特徴を適切に読み取れるようです.一方の農業の場合は,農業が盛んな市町村の面積が広い場合も狭い場合もあるため,面積当たりの地図では,十分に表現できないと思います.農業産出額以外にも,農業の分布を知るための適切な指標がないか,探してみたいと思います.

2013年10月14日月曜日

日本の市町村別農業に関わる地図―面積当たりの農業産出額


  今週は,農業に関わる地図を見てみたいと思います.最初に,面積当たりの農業産出額から見てみます.面積当たりの農業産出額という指標は,あまりなじみがないかも知れませんが,市町村の体積が農業産出額に比例するようにするために,面積当たりの農業産出額で地図を作成しました.
  この地図は,先週見た人口密度の地図とは,だいぶ分布の様子が違います.人口密度の地図は,大都市の中心付近が高く,その周辺に向かって低くなる,という規則的な分布でしたので,見た目に分かりやすい地図だったと思います.一方,この面積当たりの農業産出額の地図には,そのような規則的な分布がみられません.関東や,東海,九州に,高い地域が比較的多いものの,その周辺に向かって低くなっていくわけでもなく,また,それ以外にも高い地域が点在しています.
   北海道が目立たない,というのも,この地図の一つの特徴です.都道府県別でみると,北海道は2位の県の2倍以上の農業産出額があるのですが,この地図では,そうは見えません.これは,高さが目立ちすぎることの弊害かも知れません.
   以上のように,この地図だけで日本の農業の特徴を知るのは難しそうです.次回以降は,様々な指標から,日本の農業に関わる地図を見ていきたいと思います.

2013年10月11日金曜日

立体で表示する日本の市区町村別人口密度-光源の変更

   光源を変えた地図を2つ作ってみました.これまでの地図(一番上)は,北西に光源があり,南東側に影ができるようになっていましたが,南に光源を移動したもの(中央)と,光源の位置は北西のままで,光があたっているところと影とのコントラストを下げたもの(一番下)とを作成しました.
   南に光源を置いた地図(中央)は,この地図が南から見たものであることから,人口密度が高い地域の側面に光があたって,非常に明るく,目立って見えます.少し目立ちすぎのようにも見えますが,地図が小さい時や暗い時(このBloggerは,今のところ,画像をアップロードすると,全体的に暗く灰色がかってしまいます.原図は背景は白ですが,ここでは灰色に見えています)には,このくらい目立った方が良いかもしれません.
   コントラストを下げた地図(一番下)は,これまでやや暗かった,人口密度が高い地域の側面が明るくなった半面,これまで明るかったところ(緑色の多くの地域)は,暗くなりました.これまでの地図(一番上)よりも,人口密度が高い地域は,より目立つようになりましたが,そうではない地域の人口密度の違いは分かりにくくなりました.
   以上のように,光源の位置やコントラストを変えることには,長短両面がありそうです.これまでの地図は,初期設定の光源を使用していましたが,さすがに初期設定だけあって,最も中庸な地図になるようです.とりあえずは,初期設定の光源である,北西に光源を置いて,ある程度コントラストをつける,という設定で,ある程度見やすい地図ができそうですが,地図の特徴や,提供する大きさ等によっては,最適なものを選ぶ必要があると思います.

2013年10月10日木曜日

立体で表示する日本の市区町村別人口密度-色の変更

  今回は,色を変えた地図を2つ作ってみました.一つはすべての市区町村を同じ色にしたもので,もう一つは,人口密度の値によって,同じような色の濃淡で塗り分けたもの(人口密度が高いほど,濃い緑)です.
   一つ目の地図は,同じ色で塗っているのですが,人口密度が高い地域が,妙に暗く見えます.これは,立体感をだすための光源が北西にあるため,市区町村の南東の側面が影になるためです.このため,人口密度が高い地域は,ある程度目立っています.
    一方,人口密度の値によって,同じような色の濃淡で塗り分けた地図ですが,先ほどの,同じ色で塗った地図と,あまり違いがないように見えます.よく見ると,大都市ではない地域で,比較的人口密度が高い地域で,やや色が濃くなってているのが分かるのですが,先ほどの地図とあまり違いません.
  どちらの地図も,大きな違いはありませんでしたが,色で塗り分けた地図とは,かなり違います.良くも悪くも,色で塗り分けた地図では,人口密度が高い地域が目立ちます.濃淡で塗り分けると,中庸な地図ができるかと思ったのですが,光源の影響が大きく,濃淡の効果が,よく分かりませんでした.次回は,光源を変えた地図を作ってみたいと思います.

2013年10月9日水曜日

立体で表示する日本の市区町村別人口密度-視点の移動

 
  立体で表示する地図の視点を変えてみました.これまで,太平洋に視点がある地図を見てきましたが,視点を日本海に置いたものを作ってみました.
  たしかに,視点が移動すると,地図の印象もだいぶ変わります.普段は,北を上にした地図を見慣れていると思いますが,日本海から見ると,南が上になりますので,地理的な位置関係を把握するところから違和感があるかもしれません.人口密度を見ると,東京や大阪の中心部よりも北側が見えるようになりました.しかし,その南側は見えなくなりました.とはいえ,特に人口密度が顕著に異なる地域が隠されることはないようです.ただし,多くの視点から見えない部分が少しはあります.東京や大阪などの大都市では,中心部の人口が減少するというドーナツ化現象が生じて,中心部よりもその周辺部の方が人口密度は高くなっていますが,この中心部は,どこからも影になってしまいます.このため,次の地図のように,ほとんど真上から見ないと中心部の人口密度が低いことは分かりません.
 
  このような問題を解消する最も確実な方法は,3次元のまま地図を利用することだと思います.ここに示している地図は,3次元のものをjpegに変換したものですので,2次元になっていますが,kmlファイルのような3次元のデータが扱えるファイルにして,Google Earthのようなソフトウェアで閲覧すれば,この問題は解決します.この地図は,ArcGISというGISソフトウェアで作成しており,kmlファイルにも変換できるはずなのですが,今のところうまく変換できていません.Google Earthで閲覧できるようになれば,タブレットPCなどで手軽に閲覧できるようになりますので,地図教材としての価値は高いのではないかと思っています.


2013年10月8日火曜日

立体で表示する日本の市区町村別人口密度-2次元との比較


  立体ではない市区町村別人口密度の階級区分図と立体のものとを比較してみました.どちらも同じデータを使っており,色分けの階級値も同じにしてあります.
  やはり,見た目の分かりやすさでは,立体で表示したものの方が有利だと思います.立体ではない地図では,東京,大阪,名古屋は,人口密度が高いことが分かるものの,それ以外は,かなりじっくり見ないと,高い地域を見つけることは難しいと思います.立体の地図では,高さが強調されているため,簡単に,人口密度の違いを読み取ることができます.
  ただし,こうして比較してみると,立体の地図にも弱点が見つかります.立体で表示すると,影になる部分ができてしまいます.人口密度が高い地域の後ろは見えていませんので,視点を置く場所によって,地図から読み取れる内容が変わるかもしれません.次回は,視点を変えて立体で表示した地図を見てみたいと思います.

2013年10月6日日曜日

立体で表示する日本の市区町村別人口密度

 
  地理情報システムを使うと,比較的容易に立体的に表示した地図を作れます.Google Earthのように,地形を立体的に表現した地図はよく見るようになりましたが,統計データによって,立体的に表示する主題図を作成することもできます.
  今週は,手始めに,日本の市区町村別人口密度を立体で表示する主題図を作成してみました.日本全体の市区町村別の主題図を,一般的な二次元の階級区分図で表すと,一つ一つの市区町村が非常に小さくなってしまうため,分かりやすい地図をつくるのは,なかなか難しいのですが,立体で表示すると,高さが強調されるため,かなり分かりやすい地図になったと思います.
  とはいえ,これで完璧というわけではありません.今のところ,色をどうするのが最も良いのか,よく分かりません.立体で表示しているので,必ずしも,色で塗り分ける必要はないのですが,全て同じ色にすると,値が大きい(高く強調された)市区町村が,背景に埋れてしまって,あまり見やすくありません.このため,人口密度の値で塗り分けているのですが,そうすると,色と高さの両方で強調されてしまいます.この地図は,市区町村の体積がその市区町村の人口に比例するように表していますので,人口密度があまり高くなくても,面積が広ければ人口が多いことを表すのですが,人口密度が低い市区町村はあまり目立たない色で塗られているため,人口が多いようには見えにくくなっています.
  以上のような問題はあるものの,見た目の分かりやすさという点では,非常に優れた表現法だと思います.これから,他の図法との比較や,他のデータで立体で表現する主題図を作ってみることで,この地図の長所,短所を考えてみたいと思います.